なぜ画期的Sカンは生まれたのか

当社の看板商品である『Sカン』
2017年に日本で初めて、スラブの配筋を組まれた後からでも設置可能なスリーブとして販売されました。
その誕生にはスリーブ工事の歴史と、梁スリーブ工事に特化した会社ならではの着眼点、
無駄な工程から開放されたいという想い、そして独自技術での開発に挑んだ情熱が溢れております。

Sカンの歴史

Sカン工業株式会社は、1992年に前代表である若林健三がスリーブ・インサート工事として興した会社です。当時はまだ法人化もしておらず、従業員も少ない会社でした。約半世紀変わらず続いている工法でスリーブ工事を専門として行い、お客様のご要望には丁寧に親身になって仕事をし、少しずつですが会社を大きくしていきます。

Sカン誕生の"きっかけ”

スリーブ工事は構造上、鉄筋を組んでいる途中でなければ放り込み出来ません。いってみれば、鉄筋を組まなければスリーブを放り込められないし、落とす前に放り込まなければいけません。鉄筋工は工程の都合上スリーブの放り込みを待ってくれない人もいます。時には鉄筋組みを手伝わされたり、場合によってはスリーブを放り込む前に梁を落とされたりします。その場合鉄筋を一度バラすか、梁筋ジャッキで持ち上げてスリーブを放り込み、その後で又鉄筋を元に戻さなければいけませんでした。

スリーブ工事施工中1

インサート工事等では現場の流れは当初の設計どおりには進まないことが多いです。合番の場所がたびたび変更されその度に施工待ちと作業の手間・そしてかかる時間が増え、10分で終わる仕事に対し何時間も掛かったりする事もありました。

また、雨が降り始めそうになると鉄筋工も仕事を急ぐので、待ってもらえず鉄筋を組みスリーブを設置する前にそのまま落とし込んだりします。そうなると最悪で、鉄筋工が帰った後に雨の降るなか組んだ鉄筋を取り出し、スリーブを設置し鉄筋を元に戻すという手間のこんだ作業が掛かってしまいます。その度に会社としても余分な人手が掛かっていました。

今までのスリーブ工事

Sカンの誕生

簡単に設置できるものなのに、無駄な時間がかかってしまう作業に憤りを感じていました。いつしか、半世紀変わらないこの工法をなんとか改善できないか、と日々考えるようになっていました。ある日、たまたま思いついた考えが”Sカン”の商品化への布石となります。
「切込を入れて落としてみたらいいのでは…」
単純な発想でした。試しに一つ現場で切込を入れ設置を行うと上手くいきました。
「これは、行けるのでは」

開発された当初のSカン試作品

早速現場に、独自で開発したスリーブを試してもらうように頼みこみました。一つの業者に承認を出していただき、設置を行いコンクリートを流し込みます。成功しました。それによって今まで掛かっていた合番作業がなくなり、その分計上していたコストが削減され利益も上がり、発注業者様にも喜んでいただける結果となります。
そうして、”Sカン”スリーブは製品化へと進んでいきます。